蕨市の菊地医院 内科、小児科、外科、皮膚科の診療

菊地医院

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発熱外来ブログ

news23の取材を受けてテレビ放送されました

2022.07.15

2022年7月13日放送の news23にて、菊地医院がコロナウイルスに関する取材を受けテレビ放送をされました。
ホームページの お知らせ の欄で紹介しており、動画を見ることができます。
動画の「6分19秒~8分25秒」の間に紹介されています。

番組の中で、当院で発熱や感冒症状がある患者さまに、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の両方の検査を同時に行っていることが紹介され、発熱外来棟横のガレージ内にあるエアロゾルボックスで鼻咽頭ぬぐい液の検体を採取している場面や、検体を処理してPCR検査機器などにかけて結果が出てくる様子、その他インタビューを受けているシーンなどが放送されました。

その日の午後の診療が始まる前まで3時間くらい撮影にかかったと思います。
放送された内容は2分ちょっとに編集されておりましたが、現在南半球の国々で起こっているインフルとコロナの同時流行が、数ヶ月後の日本でも発生する懸念など、お話しさせていただきました。
撮影時には説明していたのですが省略されていた部分も多くありますので、このブログで少し補足させていただきたいと思います。

37.8度の発熱のある患者さまから鼻咽頭ぬぐい液を採取し、発熱外来棟内で処理した検体を滴下したコロナとインフルのカートリッジを、それぞれ2台のPCR検査器に挿入しているシーンがありました。
45サイクルかけてウイルスの遺伝子を PCR検査器が増幅するのですが 、コロナについては23サイクル目で陽性となり、結果がプリントアウトされました。
約40分後に結果が出てきましたが、20台のサイクル数で陽性となる検体はウイルス量が多く、そのため40分で結果が得られました。
陰性になるようなケースでは、結果が出るまで1時間弱かかります。
このケースではインフルエンザについてはPCR検査の結果は陰性でした。

発熱外来ブログ 2021-22冬期の発熱時のコロナ・インフルエンザの検査について①~⑤でくわしく当院の検査機器についてご説明させていただきました。
インフルエンザとコロナの両方を検査する場合は、以下のABCDの4通りがあると書きました。

抗原検査(通常のイムノクロマト法による抗原検査キットDドライケム抗原検査C)では、一回の鼻ぬぐい液あるいは鼻咽頭ぬぐい液の採取(鼻グリグリ検査)でコロナとインフル両方の検査を行うことができます。

また、D抗原検査キットで行う場合はひとつのキットで両方の検査を施行できますので、抗原同時検出料免疫学的判断料がともに公費負担になりますので、コロナの検査のみならずインフルの検査についても患者さまの負担がなくなります。(※検体採取料:25点については医療保険での対応になります)

今まではインフルエンザのついてはPCR検査はできませんでしたので、PCRでコロナの検査を行った場合、インフルエンザについても検査する場合は、
AコロナーPCR--インフルードライケム抗原検査 あるいは
B コロナーPCR--インフルー抗原検査 キット のどちらかのパターンで検査するしかありませんでした。
この場合は二回 鼻グリグリ検査 をしなければなりません。

当院に3台あるPCR検査機器:スマートジーンに使用できるテストカートリッジとして、A型およびB型のインフルエンザウイルスRNAを検出できる新しいキット:スマートジーン Flu A、Bが新しく開発されました。
このカートリッジを使用すれば一回の 鼻グリグリ検査 で得られた検体を用いて、インフルエンザとコロナの両方を検査することができます。
番組内ではこの新しいカートリッジを用いて検査を行いました。

しかし、現在このスマートジーンによるインフルエンザのPCR検査は保険適用はあるのですが、病院で重症の入院患者に対してのみ使用でき、クリニックでは保険が適用されにくい状況なのであります。
抗原検査(通常のイムノクロマト法による抗原検査キットDドライケム抗原検査C) でもインフルとコロナを一回の 鼻グリグリ検査 で同時に行うことができます。
番組内では ドライケム抗原検査 に機器や、 抗原検査キット を差し込む デンシトメトリー分析装置スマート QC リーダー も撮影されています。
以前にもご紹介しましたが、発熱して間もないインフルエンザの発症早期には、ウイルス量が少なく通常のイムノクロマト法による抗原検査では陰性になってしまうことが多いです。
そのようなケースをできるだけドライケム抗原検査で行うことにより早期診断をしてきましたが、発症一日目ではそれでも陰性の結果ですり抜けてしまうことがあります。
発症してから48時間以上経過してしまうと、ノイラミニダーゼ阻害薬などのインフルエンザウイルス薬は服用しても効果が不十分になってしまいます。
発症してからできるだけ早期にインフルエンザの診断をすることは重要であり、ごくわずかなウイルスを増幅し検出できるPCR検査は頼もしいです。
ぜひ スマートジーン Flu A、B がクリニックでも使用できるようになれば、とても有用なツールになり、発熱者がコロナなのかインフルなのか分からないツインデミックの状況下では、一回の 鼻グリグリ検査 で感度に優れる検査が行えて、コロナなのかインフルなのかはっきりします。
そのことを伝えたシーンも撮影していたのですが、そこはカットになってしまいました。与えられた尺が短いので仕方がありません。

発熱しているすべての患者さまにコロナとインフルエンザを同時に行っているわけではありません。
コロナのPCR検査のみ行っている方も多くいます。
ただ上述したように、コロナとインフルが同時に検出できる 抗原検査キット では、コロナのみならずインフルについても公費になり患者負担がないことや、コロナとインフルに同時に感染すると肺炎が重症化・長期化する可能性があり、コロナ陽性の患者さまのインフルエンザ感染の有無について調べておくことは重要だと思っていることなどから、積極的に両方の検査を行ってまいりました。

その結果2021-22年冬季から現在までに、インフルエンザ陽性者は17名、インフル・コロナ同時陽性の結果が出た方は8名おられました。
しかし同時感染の結果のインフル陽性は擬陽性であったのではないかと思っています。
同時感染の結果が抗原検査で得られたら、より感度・特異度の優れた検査で再確認しています。その結果インフルは陰性になってしまうことが多いです。

本日も発熱者で コロナとインフルが同時に検出できる 抗原検査キット では、コロナの陽性ラインのみ認められたのですが、キットをデンシトメトリー分析装置に差し込んだところ両方陽性となったケースがありました。

より感度の良いドライケム抗原検査でインフルエンザについて再検査したところ、結果は陰性でした。

ドライケム抗原検査で インフル・コロナ同時陽性 が出た場合、より感度・特異度の優れた検査で再確認するにはPCR検査しかなく、そのためにも スマートジーン Flu A、B がクリニックでも使用できるようになれば 良いと思います。

現在の南半球の国々と同じようなインフルエンザとコロナのツインデミックという状況が、この2022-23秋冬シーズンの日本に襲来したら、発熱者はインフルなのかコロナなのか、それ以外の感染症なのか、検査してみないと分からない状況になってしまいます。
その時に新型コロナが現行の指定感染症2類相当からインフル並みの5類に引き下げられる状況になっているとは、現在の状況からはとても考えられません。
テレビ放送のあった日は検査を行った12人のうち9人がコロナ陽性、翌日は 12人のうち11人がコロナ陽性 でした。
この勢いで感染者数が増えていったら重傷者・死者数も増加するだろうし、5類のインフルだってインフルエンザ脳症や肺炎などの合併症を起こして後遺障害や死者が出る怖い疾患です。
同時感染を起こしたら 肺炎は重症化・長期化する に違いありません。

尺の短い番組内ではお話しすることができませんでしたが、ワクチン接種による免疫効果が減衰している状況がツインデミックの時期に重ならないように、新型コロナウイルスの4回目のワクチン接種、そして10月以降インフルエンザのワクチン接種も行い、2022年の夏から秋冬シーズンに向けて対策していくことが重要と思われます。

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