8月の菊地医院での検査数・感染者数・陽性率
直近1週間の全国の新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は、前週比で0・79倍と減少傾向に転じたとの分析結果があります。
このまま続いていけば第7波のピークアウトになるかもしれないとのことです。
一方で 、西日本を中心に28府県で直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数が1000人を超す高水準であり、全国的には高い感染レベルが継続していて、今後、夏休み後の学校再開による影響に注意が必要とのことです。
8月23日には、一日あたりの全国の死者数が343人となり過去最多を更新しました。
日本の日別の新規感染者数は8/18と8/19が258531人で過去最多あり、その後は減少に転じています。
8月の菊地医院での検査数(抗原検査・PCR検査)、感染者数、陽性率を表とグラフにして示します。
1ヶ月間の検査数は265例(抗原検査:233例、PCR検査:32例)、
陽性者数は184例( 抗原検査:169例、PCR検査:15例 )、
陽性率は69%でした。
国内の新規感染者数のグラフと同様に、検査数は8/18、陽性率は8/20をピークにして減少に転じています。
この後は『第7波』は収束に向かうのでしょうか?
気がかりなのはケンタウロスと呼ばれる変異株 BA.2.75です。
ケンタウロス株はBA2系統で75番目の変異(亜種)の株になります。
これまでとはあまりにも異なる異質な特徴を持っていることから、ギリシャ神話の半人半獣に例えてケンタウロスと呼ばれています。ケンタウロスは、馬の首から上が人間の上半身に置き換わった姿をしています。
ケンタウロスは5月にインドで最初に見つかってから、世界28ヵ国ですでに見つかっており、国内での感染例も認められています。
BA.2.75 は日本で『第7波』 を引き起こしたBA.5よりも1.13倍拡がりやすいという報告があります。
ウイルスがヒトの細胞内に侵入する際には、まずウイルス表面にある、とげ状の「スパイクタンパク質」が、ヒトの細胞表面で受け手となる受容体タンパク質(アンジオテンシン変換酵素2=ACE2)に結合して細胞内へ侵入します。
BA.2.75 は ACE2 受容体への結合力がBA.5よりも強いことが分かっており、このことが感染力の強さと関係している可能性があります。
さらに BA.2.75 はBA.2に比べて スパイクタンパク質 に数カ所の変異が加わっており、ワクチンの接種で得られた中和抗体を逃避する性質を持っているとのことです。つまりBA.2やBA.5に感染した人も BA.2.75 には感染するかもしれないということになります。
ワクチン接種や過去の感染によって得られた免疫から逃れてしまう、いわゆる免疫逃避の能力を変異によって有した株の方が、優位となり従来株から置き換わっていく傾向が認められますので、インドで拡がりを見せたように、今後国内で ケンタウロス が広がっていく可能性が考えられます。
もし国内で BA.5 から BA.2.75 への置き換わりが進むと、『第7波』がピークを越えたあとに再び感染者数が増加したり、空気が乾燥している秋口から冬季に入り流行が長引き、さらに医療が逼迫される可能性もあります。
毎年、冬の風物詩であったインフルエンザが過去2シーズン、まったく見られなくなってしまいました。
マスクや手洗いなどの公衆衛生に対する意識が高くなったことも影響していると思われますが、コロナウイルスが蔓延したことによるウイルス干渉も要因と考えられます。 ウイルス干渉とは一言で言えば強いウイルスが弱いウイルスを駆逐してしまうということです。
しかしインフルエンザはなくなったわけではありません。
国民の間に基礎免疫がなくなり、いつかのタイミングでかならずまた襲いかかってきます。
コロナの流行と同時(ツインデミック)か、コロナの後に来るのかはまだ予測できないところがありますが、いつか必ず大流行します。
高病原性鳥インフルエンザのヒトからヒトへの感染が起こるようになったら、その恐怖はコロナの比ではないように思います。
人間の細胞の中で増殖を繰り返し、なんとか生き残ろうとして変異をしていくウイルス・・・・
多くの感染による犠牲者を出しながら、ワクチンや治療薬を開発し、またそのウイルスに対する免疫力・抵抗力を身につけ、進化していく人間・・・・
気候変動により地球をとりまく自然環境が劇的に変化していく中で、従来のウイルスも変異し、新しい感染症が次々と生まれてきます。
それに対する免疫・耐性を次々と人間が獲得していかない限り、人類は感染症によって滅亡してしまうのではないかと思うほど、ウイルスの凄まじい変わり身の速さに驚かされてしまいます。