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発熱外来ブログ

6月の菊地医院での検査数・感染者数・陽性率

2022.07.02

先日高熱がみられ、だるさがある患者さまが発熱外来に来院されました。
コロナとインフルエンザが同時に判定できる抗原検査の結果では、コロナは陰性でインフルは陽性という結果でした。

デンシトメトリー分析装置(スマート QC リーダー)にかけ、プリントアウトした抗原検査の結果が左側ですが、この抗原検査のキットではインフルエンザはA型かB型かは分かりません。
当院に3台あるPCR検査機器:スマートジーンに使用でき、A型およびB型のインフルエンザウイルスRNAを検出できる新しいキット:スマートジーン Flu A、Bを用いて、インフルエンザのPCR検査を行い再確認しました。
写真の左側がその結果ですが、46サイクルのうち34サイクル目で陽性になっており、ある程度のウイルス量を排出していることが分かりました。またインフルエンザはA型でした。

発熱して間もないインフルエンザの発症早期には、ウイルス量が少なく通常のイムノクロマト法による抗原検査では陰性になってしまうことが多いです。
そのようなケースをできるだけドライケム抗原検査で行うことにより早期診断をしてきましたが、発症一日目ではそれでも陰性の結果ですり抜けてしまうことがあります。
発症してから48時間以上経過してしまうと、ノイラミニダーゼ阻害薬などのインフルエンザウイルス薬は服用しても効果が不十分になってしまいます。
発症してからできるだけ早期にインフルエンザの診断をすることは重要であり、ごくわずかなウイルスを増幅し検出できるPCR検査は頼もしいです。

前回のブログでも書きましたが、現在オーストラリアなどの南半球ではコロナとインフルエンザが同時に流行しています。南半球で先に起きていることは半年後の日本でも起こる可能性があり、日本でも過去2年間インフルエンザがまったく流行らなかったのでインフルエンザの基礎免疫がなくなっており、インフルエンザはいつ大流行してもおかしくない状況です。
今年の秋冬シーズンにインフルエンザとコロナの同時流行ツインデミックが起こる懸念があります。

上記のインフルエンザのPCR検査に使用できるテストカートリッジはまだ市販されておらず、クリニックでは保険適用されない様子ですが、一回の鼻ぬぐい液採取でインフルエンザとコロナの両方の検査が行え、同時流行した際にはとても診断の助けになると思われ、発熱外来で日常的に使用できるようになると良いと思われます。

さて、現在の日本国内の状況ですが、 今年になって始まった第6波は今までと比べて圧倒的に感染者数が多く、オミクロン株の中での亜種への置き換わりや異なる系統同士の組み換え等が繰り返され、 立ち上が急峻さに比べてゆっくりと三つくらいの小さなコブを呈しながら感染者数が減少してきておりました。

しかし、ここにきてまた感染者数が上昇する傾向を示しております。
この原因は、6月から入国者数の上限が引き上げられたり、入国時の検査や入国後の待機期間が見直されたりしたこと、夏場の熱中症予防の観点から屋外などでのマスク着用の必要性が緩和されてきたことなど、また行動制限の緩和が関係しているのではないかと思っております。

5月の菊地医院での検査数抗原検査PCR検査)、感染者数陽性率を表とグラフにして示します。
1ヶ月間の検査数142例(抗原検査106例、PCR検査36例)、
陽性者数41例( 抗原検査33例、PCR検査8例 )、
陽性率29%でした。

新型コロナウイルス感染症の検査を希望される方の数がかなり減ってきましたが、陽性率は上昇しております。
2月をピークに感染者数が徐々に減り再び増加傾向を示している国内の感染者数のグラフと、同様の傾向を示しております。

新型コロナの様に呼吸器感染症を起こすウイルスは、原則的に寒い時期に流行が拡大し、オリンピックの開催などがなければ一般的には夏の流行は少ないため、秋頃までは落ち着いた時間が過ぎていく可能性が考えられました。
インフルエンザの発生も夏期は局地的・散発的なものに留まるとは思われます。

しかし感染力が強いオミクロン株の亜種 BA.5 の割合が増えてきていることも、感染が急増している1つの要因であり、この BA.5 はワクチンが効きにくいとのことです。
夏から秋にかけて再び新型コロナの大きな流行が起こることも予測されます。
BA.5 のようなオミクロン株が再燃することも考えられますし、新たな変異株が発生すれば、それが大流行を起こすことも想定されます。
そこに基礎免疫を持たない国民の間にインフルエンザの流行が加われば、まさにツインデミックの脅威に晒されることになります。

ワクチン接種による免疫効果が減衰している状況が重ならないように、新型コロナウイルスの4回目のワクチン接種、そしてインフルエンザのワクチン接種も行い、2022年の夏から秋冬シーズンに向けて対策していくことが重要と思われます。

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