4月の菊地医院での検査数・感染者数・陽性率
この一年余りの期間、日本でのコロナの新規感染者数、それを日ごとにグラフ化したものを以下に示します。
第5波までは、感染者数がピークに達するまでの期間と同じ時間を要して収束に向かい、ピーク時を縦軸にして左右線対称になるような山の形態のグラフを示していました。
今年になって始まった第6波については、今までと比べて圧倒的に感染者数が多く、一つ目のコブが大きく、二つ目のコブがそれよりも小さいフタコブラクダのような形態を示し、現状では徐々に感染者数が減ってきております。
2013年に流行が始まった中東呼吸器症候群(MERS、マーズ)を引き起こした別のコロナウイルスは、致死率が40%と高く、かかると重症になりました。人にうつす間もなく患者さんは亡くなったり入院したりすることもあり、拡がりにくかった傾向があります。
サウジアラビア、韓国などでマーズが流行したときの感染者数のグラフを以下に示します。
一気に感染者数が増加しますが収束も速く、グラフの形態はトマホーク型(ミサイルのような形)を示しました。
左右線対称の山型ではなく、今年の日本で、第6波のフタコブラクダのような形態がなぜみられたのかを推察してみたいと思います。
今年になり オミクロンBA.1型による患者数の著しい増加がおこり、 一つ目の大きく急峻なコブができはじめます。
最近では 「BA.1」が変異した「BA.2」という亜種 ( ステルスオミクロン )に置き換わってきていますが、まず 「BA.1」 がさらに変異した 「BA.1.1」 に置き換わっていきます。
デンマークなど「BA.1.1」の報告が少なかった国では「BA.2」への置き換わりが早かったのですが、2月中旬まで「BA.1.1」が主流の日本では置き換わりが遅くなり、一つ目のコブの収束がなだらかになったのではないかと考えます。
そして 「BA.2」 に置き換わり二つ目のコブができたのではないか・・・
一人が何人に感染を拡げるかを示す実行再生産数が、BA.1に比べBA.2は上昇しているのですが、なぜか一つ目のコブより二つ目のコブは小さくなりました。
しかしながら、それもつかの間、今度は新種のオミクロンXEが登場しました。
XEは、オミクロン株のBA. 1とBA.2の遺伝子の一部が組み換えにより交ざったもので、感染者の増加する速度がBA.2より早いので、 現状でさえ凄まじい伝播性を有するウイルスが、さらに感染性が増加されたものに今後置き換わっていく可能性があるということになります。
現時点においてオミクロンXEに関してはまだ十分な情報がないのがですが、日本のグラフはフタコブラクダの次にどのような形態を示していくのでしょうか?
ものすごい勢いで変異を繰り返していくコロナウイルス、そのたびに感染者数が増加してもワクチンの接種、耐性・免疫を獲得してひとつひとつのコブを収束していく人間、その戦いはイタチごっこです。
一般的に呼吸器系に感染するウイルスは、上気道で増殖し排出される場合は伝染性が高くなり、対照的に、下気道で増殖し組織を破壊する場合は、より重篤になると考えられています。
ウイルスの進化の方向性がどのように進んでいくのか分かりません。
オミクロンXE の正体もまだ分かりませんが、現状までは伝染性は増加しても重篤性は低下し、弱毒化してきているのではないかと思われます。
さて、遅くなりましたが4月の菊地医院での検査数(抗原検査・PCR検査)、感染者数、陽性率を表とグラフにして示します。
1ヶ月間の検査数は299例(抗原検査:189例、PCR検査:110例)、
陽性者数は106例( 抗原検査:82例、PCR検査:24例 )、
陽性率は35%でした。
検査数は抗原検査・PCR検査ともに増えてきております。
陽性者数・陽性率は冒頭のグラフと同様に減少傾向です。
もう一つの資料として、一ヶ月間に菊地医院のホームページを見てくださった方の訪問数、ページ数を以下に示します。
4/3(日):981名 4/17(日):997名 4/30(土):989名と3日間だけ1000人を超えない日がありましたが、
訪問者数の平均は一日1248名であり、最高は4/25(月)の1575名でした。
一日にそれほどたくさんの方がホームページを訪れ、閲覧してくださっていることには、ただただ感謝の念に堪えませんし、とても驚いております。
菊地医院ブログや発熱外来ブログ、菊地医院コラムなどを見てくださっている方も大勢おられ、嬉しい限りです。
多くの方はコロナの検査をしてもらえる発熱外来を探して検索されているのではないかと思われ、やはりPCR検査・抗原検査を依頼される患者さまがこれほどまで多くいるというのが現状なのだと思います。