蕨市の菊地医院 内科、小児科、外科、皮膚科の診療

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発熱外来ブログ

2024年の菊地医院での新型コロナウイルス感染症の 検査数・陽性率

2024.12.05

12月の入り気温も下がり、いよいよ冬のシーズンに突入しました。
例年冬のシーズンは、新型コロナやインフルエンザなど、感染症が流行する時期です。
感染症の予防には、「手洗い」「咳(せき)エチケット」などが有効です。特に、高齢者や基礎疾患のある方が感染すれば重症化リスクも高まります。感染対策の基本を意識した行動が重要になってきます。

厚生労働省によりますと、12月8日までの1週間で、全国の1つの医療機関当たりのCOVID-19の平均の患者数は3.07人で、夏の流行期以降は感染者数の減少傾向が続き、COVID-19は少し落ち着いている状況ですが少しずつ感染者が増えてきました。

COVID-19は夏と冬に流行期を迎える傾向がありますが、流行の山(1医療機関あたり平均患者数)を見てみますと、流行期毎にピークの患者数が減ってきている傾向にあります。
感染者数が徐々に減ってきている状況は、国民の安全を考えると非常に喜ばしい事です。
ただし、COVID-19への慣れや恐怖心が薄れている事で、発熱や咳などの症状があっても受診せずに普段と同じ日常生活を過ごしているのであれば、問題ではないかと考えます。

厚生労働省の報告では、確かに感染者数の山は減っていますが、入院患者数の山は増加している傾向がありますし、1-6月にCOVID-19で亡くなった方は18,000人いらっしゃいます。

2024年1月から11月までの菊地医院での新型コロナウイルス感染症の発生状況についてお知らせします。
全国の平均患者数と同様に、菊地医院でも夏から秋にかけて患者数は減ってきております。

この2~3年の年間を通しての日本での新型コロナウイルス感染症の発生状況をみてみますと、毎年1月に感染の大きな波があり、春以降徐々に収まっていき、夏場にまた大きな波が再来する、そして秋口に再び収まり、また1月に波が襲来するといった傾向を繰り返しています。
波の規模は小さくなってきておりますが、今年も1~2月、7月に波がありました。
例年の傾向を見ても1~2月再度に波が来ることは予測できます。
昨年に比べ、2024-25秋冬のシーズンは今のところインフルエンザも感染者数は劇的には増えておりません。

この間、マイコプラズマ感染症の患者さまが多かった印象があります。

初期症状は風邪とよく似ており、長期間咳症状が持続する肺炎マイコプラズマは、感染初期の確定診断が重要となります。
高熱や頑固な咳症状がみられる患者さまでも、抗原検査キットではなかなか診断できず、胸部レントゲン検査で特徴的なスリガラス様陰影が見られ診断できるケースもあります。
当院のPCR検査器は感度、特異度が高く、発症初期の確定診断に最適です。
従来のマクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシン)に対する薬剤耐性の有無についても、検査することが可能となります。

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日付期間コロナ検査数コロナ陽性数コロナ陽性率インフル検査数インフル陽性数インフル陽性率マイコ検査数マイコ陽性数マイコ陽性率
2024年11月1341391359672912
2024年10月1652213164148891617
2024年9月137392811700621727
2024年8月993737861121314
2024年7月196834217510500
2024年6月12943331083211218
2024年5月167301715721400
2024年4月127181411897500
2024年3月24842162468132400
2024年2月324802427810136200
2024年1月27965232809132800

前回のブログでもお伝えしましたが、今年度から、コロナワクチンの公費負担による無料接種の制度は廃止され、自己負担が生じる定期接種と任意接種に切り替わります。
10月から65歳以上の方、60~64歳で一定の基礎疾患がある方を対象とした定期接種が始まりました。
接種費用は市町村によりことなりますが、当院がある蕨市は3,000円の自己負担で接種が可能です。


以前のブログに記載しましたが、年齢が増加するほど新型コロナウイルス感染症による重症化・死亡リスクは高くなります。

海外のデータ(CDC)によると、新型コロナウイルス感染症の死亡リスクは、肥満・糖尿病・慢性腎臓病といった併存疾患をいくつ持っているかということよりも、年齢の増加に従って上昇し、39歳以下の成人に比べて、
65~74歳では6.7倍、
75~84歳では8.5倍、
85歳以上では10.6倍 以上の死亡リスクがあるということが示されました。
そのため、今後もワクチン接種が重要であると考えます。

COVID-19には重症化・死亡という問題に加えて、後遺症という問題もあります。
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状 post COVID-19 condition(long COVID)と言われます。

後遺症は、罹患した後に感染性は消失したにもかかわらず、他に原因が明らかでなく、罹患してすぐの時期から持続する症状、回復した後に新たに出現する症状、症状が消失した後に再び生じる症状の全般をさしています。

主な症状は、倦怠感・思考力や注意力が低下するブレインフォグ・息苦しさや咳などがあります。
岡山大学の研究によると、倦怠感などの長引く症状が、患者さんの日常生活に大きな影響を与え、休職や退職、時短勤務などが就労にも影響を与えることが報告されています。
後遺症の予防にワクチン接種が有効である報告もありますので、この点からもワクチン接種は重要だと考えます。
カナダ統計局によると、1回感染した人の14.6%が後遺症を発症。2回感染した人は25.4%、3回以上感染した人は37.9%が後遺症を発症しています。感染した回数が多いほど、後遺症を発症しやすくなる報告もありますので、感染対策の基本を意識した行動が重要になってきます。
long COVID に対してもワクチン接種がその予防に有効であるならば、積極的に接種していくべきと考えます。
つい数年前はコロナワクチンの接種のために予約を取り、接種される方が列をつくって順番を待っている状況がありました。
前述したように新型コロナウイルス感染症の感染者数は減ってきていても、入院患者数は増加している傾向があり、亡くなった方も数多くおられます。
国やマスコミがコロナに対する情報を発信することが少なくなってくると、国民のこの感染症に対する意識も少なくなり関心が薄れてきて、ワクチン接種率も下がってきています。
long COVID の問題もあり、いまだに新型コロナウイルス感染症は医学的にも社会的にも収束していないと考えます。

私たちはまだまだ新型コロナウイルスを含め、様々な感染症の脅威から逃れることはできておりません。
感染予防の多くは、基本的な衛生管理が中心になります。引き続き感染対策を徹底する必要があります。

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