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発熱外来ブログ

2023年の菊地医院での インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症の 検査数・感染者数・陽性率         2024年1月の発生状況 今年の流行「第10波」の予測

2024.01.31

厚生労働省によりますと、1月21日までの1週間に全国およそ5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から1万6090人増えて6万268人となりました。

また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は12.23人で、前の週の1.36倍となりました。

前の週から増加が続くのは9週連続で、1医療機関当たりの平均患者数が10人を超えるのは、去年9月以来です。

インフルエンザについては、国立感染症研究所の週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数のデータを見ますと、現状で赤色A/H1pdm09型、と緑色A/H3型、そして青色ビクトリア系統のB型のA型2種類、B型1種類の3種類が認められております。
1月21日までの1週間に全国およそ5000か所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は8万7318人で、1医療機関当たりでは17.72人と前の週よりも4.73人増え、1.36倍になっています。

新型コロナウイルスの患者数とインフルエンザの患者数がともに前の週から増加していて(両方とも 前の週の1.36倍 に増加)、引き続き感染対策を徹底する必要があります。

2022~24年1月までの菊地医院での インフルエンザ新型コロナウイルス感染症の 検査数感染者数陽性率を以下に示します。

2019年末に突如出現した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に、2023年12月の時点で全世界で7.7億人以上が感染し、700万人近くが亡くなられております。
これまでにワクチンの開発、接種が進み感染者数や死亡者数は減少傾向にあるものの、収束の兆しは未だ見えておりません。

昨年末からオミクロンBA.2.86株の子孫株である「オミクロンJN.1株」が世界各地で流行を拡大し、瞬く間に世界の主流株になっています。
東京大学医科学研究所の発表によると、 オミクロンJN.1株 の伝播力、培養細胞における感染性、液性免疫への逃避能力が明らかにされ、自然感染やワクチン接種により誘導される中和抗体に対しては高い逃避能を有し、高い伝播力(実行再生産数)があることが分かりました。

また海外のデータ(CDC)によると、新型コロナウイルス感染症の死亡リスクは、肥満・糖尿病・慢性腎臓病といった併存疾患をいくつ持っているかということよりも、年齢の増加に従って上昇し、39歳以下の成人に比べて、
65~74歳では6.7倍、
75~84歳では8.5倍、
85歳以上では10.6倍 以上の死亡リスクがあるということが示されました。

併存疾患数がなしの場合と比較すると、疾患が1つある場合で1.5倍、2~5つ有る場合で2.6倍、10個以上あった場合で3.8倍と死亡リスクが高くなり、併存疾患数が増えるほどリスクが高くなっています。
ただ基礎疾患がなくても、年齢区分で年齢が増加するほど死亡リスクが高くなるという上記のデータについては驚きました。

新型コロナウイルス診療の手引き第10版からの抜粋になりますが、重症化のリスク評価はリスク因子があるかないかということよりも、リスクが高いか低いかということでで判断する様です。
例えば上述したように基礎疾患が1つ2つであればリスクは低く、複数あればリスクは高くなります。
さらに、基礎疾患のコントロールが良好であればリスクは低く、コントロール不良であればリスクは高くなります。年齢も高齢者(65歳以上)が全てリスクが高いのではなく、80歳以上がリスクが高いといったような考え方になります。


オミクロンJN.1株 は重症化しにくいと言われておりますが、まだまだ人類は SARS-CoV-2 の呪縛から逃れることはできておりません。

コロナ蔓延の陰で減った感染症の1つにマイコプラズマ感染症があります。
オリンピックのある年に流行してきましたが、2020年以降はほとんど患者がいなくなりました。
一見、元気そうにしていてもレントゲン検査で肺炎が分かることがあり、「歩く肺炎」とも呼ばれています。
現在、米国、中国などでは患者数が増加しており、日本でも今年は流行するのではないかと危惧されています。
コロナ禍でしばらく流行しなかったために、マイコプラズマに対する集団免疫が低下していて、ひとたび流行すると一気に拡大する可能性があります。
3~4週間も続く「長引く咳」が見られる場合は、積極的に検査をした方が良いと思われます。
菊地医院でもマイコプラズマに対するPCR検査が可能です。1時間以内で結果が出ます。

気候の温暖化などにより地球をとりまく自然環境が激変し、地球という「お部屋」のなかで生きていくしかない人間の生活・生命も追い詰められているように思います。
自身の抵抗力・免疫力がつよくなり、激変する周囲の環境に一気に適応していくことは困難であり、さまざまなウイルス・病原体による感染症がつぎつぎと新しく出現する状況に、人間は追い詰められています。
人類が滅亡するとしたら、その原因はやはり疫病・「感染症」によるものなのでしょうか?

コロナ禍でしばらく流行しなかったために、 いろいろな感染症に対する免疫を持っていない人が増えて、ふたたび流行してしまうという懸念があります。
しかしそのひとつひとつの感染症に対しては、人類は過去に流行やパンデミックを乗り越えてワクチンや治療薬を開発し、予防する方法や治す方法の知識をもっているはずです。
それらをまじめに行っていくことが唯一の対策になるのでしょうか?

最後に2024年の、これからの新型コロナウイルス感染症の発生状況の予測について述べたいと思います。

冒頭に掲載した 1医療機関当たりの平均患者数 の棒グラフを見ると、 新型コロナの患者数は9週連続で前の週より増加しており、昨年末から今年にかけてのグラフの立ち上がりは 第9波流行拡大の初期と同じ立ち上がり方になっています。
昨年5月8日「5類感染症」移行後も感染者数は増え続け、8月末から9月上旬には1医療機関当たり約20人になり流行の「第9波」のピークに達しました。
その5月から7月くらいの立ち上がり方と 昨年末から今年にかけてのグラフの立ち上がり 方が同じような傾きを示しています。

新型コロナウイルスは流行「第10波」が立ち上がりつつあると思われます。
国立感染症研究所によると、現在日本で主流とみられるのは、オミクロン株の亜種XBBの一種であるHK.3です。
XBB全体の約7割を占め、さらにBA.2.86JN.1など新たな変異株が広がりつつあります。
あくまでも予測になりますが、第10波のピーク予測2月下旬から3月規模予測第9波(2023年夏)と同程度の規模になると思われます。

私たちはまだまだ新型コロナウイルス  SARS-CoV-2 の呪縛から逃れることはできておりません。
2月から3月のピーク時にはもちろん、インフルエンザも流行していると思われます。

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