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発熱外来ブログ

2021-22冬期の発熱時のコロナ・インフルエンザの検査について①

2021.11.05

新型コロナウイルスの抗原検査キットの販売が一般の人向けにも認められ、薬局では検査キットの販売が始まっています。

抗原検査キットは迅速に(15分から30分程度)で結果がわかり、また操作が簡便であり、厚生労働省は国の承認を受けた製品についてこれまで医療現場などに限って使用を認めていましたが、一般の人が自宅などで自ら検査を行えるように薬局での販売を認めました。
希望する人は健康なときにあらかじめ購入しておき、具合が悪くなったときに自宅などで検査を行って、陽性の結果が出たら医療機関を受診するという使い方が想定されています。

抗原定性検査は、イムノクロマトグラフィー法によりウイルスの抗原を検知するものであり、有症状者においては、発症から 9 日目以内陰性であれば感染していないと確定診断することができます。しかしPCR検査と比べて感度が低く、感染しているにも関わらず症状のない人はウイルス量が少なく陰性と判定される(偽陰性)のリスクもあることから、無症状の人にスクリーニングとして検査することは推奨されていません。

現時点で新型コロナウイルス感染症の一日の新規感染者数は急激に減少しています。
ウイルスが変異して感染力が弱まり急速に感染者が減ったSARSウイルスの様に、新型コロナウイルスにも同様の変異が起きた可能性も考えられると思います。
昨冬は1月7日に都内の感染者が2000人を超え、首都圏1都3県に2度目の緊急事態宣言が発令されました。寒くなる冬季は人間の抵抗力・免疫力が落ちて、ウイルス性の感染症は拡大しやすく、3~4ヶ月ごとに感染の波を繰り返す新型コロナウイルス感染症の第6波に対しては余談を許さない状況であると思います。インフルエンザの流行についても注意をしていく必要があります。

話を元に戻しますが、感染の波を再び迎えた状況では、自宅で検査できる抗原定性検査はとても役に立ち、助けになると思います。症状のある人が早期に自宅で検査することにより、その人が陽性であった場合、多くの人への感染拡大の感染源(スーパースプレッダー)になることが防げるからです。

自宅で検査を行う場合は、キットを購入された方がご自身で検査を行い、検体を採取することになります。
新型コロナウイルス感染症の抗原検査・PCR検査の検体としては、気道または口腔由来検体(だ液鼻腔ぬぐい液鼻咽頭ぬぐい液)を用いることになります。
発熱外来でそれらの検査を行う際は、エアロゾルボックス内で鼻咽頭ぬぐい液を採取するケースが多いですが、自宅で抗原検査を行う場合は鼻腔ぬぐい液が中心になると思われます。

鼻腔ぬぐい液検体の採取方法

検体採取時には、鼻孔の方向で鼻腔に沿って 2 cm 程度スワブを挿入し、挿入後スワブを5回程度回転させ、5秒程度静置し湿らせます。医療従事者の管理下で被検者自身が検体を採取することが可能であり、医療従事者への曝露するリスクを低下させることができます。鼻咽頭ぬぐい液採取(鼻グリグリ検査)が痛くて苦手な方は、医師の管理下でご自身で採取していただくことが可能です。
検出感度は鼻咽頭ぬぐい液と比較すると低いとの報告がありますが、実用性と疼痛の回避、医療者の感染予防の面から有用な検体であると思われます。

鼻咽頭ぬぐい液検体の採取方法

SARS-CoV-2 は上気道から感染するため、感染初期には鼻咽頭ぬぐい液は最も標準的で信頼性の高い検体と考えられます。反面、自己採取ができず、医療者による採取が必要であり、飛沫に曝露するリスクが高いため、感染予防策を徹底した上での実施が前提となり、また適切な部位から採取する必要があります。
だ液や鼻ぬぐい液より感度が高くなりますが、何よりも痛い鼻グリグリ検査になります。検査を受ける方にとってはとてもつらいことになりますが、綿棒の先端が咽頭後壁にあたり抵抗を感じたところから、さらにグィッと押し進め、綿球部分が折れ曲がり咽頭後壁に触れるようにすると、感度がより高くなるそうです。

当院で使用している新型コロナウイルスの抗原検査キット(QuickNavi ™-COVID19 Ag)の有用性について書かれた論文(The evaluation of a newly developed antigen test(QuickNavi ™-COVID19 Ag) for SARS-CoV-2:A prospective observational study in Japan)によると、この抗原検査キットとRT-PCR検査を有症状患者の鼻咽頭ぬぐい液を用いて比較したところ、感度は91.7%、特異度は100%であったとのことです(表2)。
また同施設の論文(Diagnostic performance and characteristics of anterior nasal collection for the SARS-CoV-2 antigen test:A prospective study)では、同様にこの抗原検査キットとRT-PCR検査を有症状患者の鼻ぬぐい液を用いて比較した結果では、感度は72.5%、特異度は100%であり、特異度はそれぞれ100%でありましたが、検出感度は鼻咽頭ぬぐい液と比較すると鼻ぬぐい液はやはり低くなっております(表1)。

表1

表2

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