1月の菊地医院での検査数・感染者数・陽性率
新型コロナウイルス感染症の日本全国の1日の新規感染者数が、1月28日にはじめて8万人を超えました。
デルタ株の時のピーク(2021年8月下旬)の1日約2万6000人の、3倍以上にまで達しています。
全国各地で急激な拡大となり、1月27日から全国34の都道府県でまん延防止等重点措置が施行されています。
すでに日本で従来株がオミクロン株に置き換わっている割合は、97%に達している様子です。
さらに、従来型のオミクロン株「BA.1」が変異した「BA.2」という亜種が、国外、特にデンマークなどで検出されています。
この亜種はステルスオミクロンと呼ばれています。
「ステルス」という意味は「発見されない」ということですが、海外で主流のPCR検査では検出されにくく、「見つからない」という異名がついたとのことです。
デンマークでは、一人が何人に感染を拡げるかを示す実行再生産数が、BA.1に比べBA.2は18%上昇している可能性が報告されました。
現状でさえ凄まじい伝播性を有するウイルスが、さらに感染性が増加されたものに今後置き換わっていく可能性があるということになります。
オミクロン株は、感染してから発症するまでの潜伏期間が従来株より短く、国立感染症研究所の報告では平均的な潜伏期間は3日、一足早く感染の波が襲来した沖縄では約2日であったとのことです。
感染後、ほかの人に感染させるまでの期間を世代期間といいますが、デルタ株が約5日であったのに対して、オミクロン株は約2日間であり、短い期間のうちに次々に感染させるため、急激に拡がっていると考えられます。
年が明けて、1月の菊地医院での検査数(抗原検査・PCR検査)、感染者数、陽性率をグラフにして示します。
1ヶ月間の検査数は255例(抗原検査:150例、PCR検査:105例)、
陽性者数は76例( 抗原検査:57例、PCR検査:19例 )、
陽性率は29.8%でした。
1月20日以降、PCR検査のキット・カートリッジに出荷調整がかかり、納入されにくくなりました。
明らかに症状の見られる方は抗原検査で、無症状の方はPCR検査を用いて検査を行ってまいりました。
PCR検査の在庫が少なくなり、検査ができなくなってからは、無症状の濃厚接触者に対する検査が行えませんでした。
1月22日以降はまとまった量の抗原検査が手に入りましたので、症状のある人に対して抗原検査を行い、そのためか陽性率がかなり高くなってきました。
現状でまだ感染がピークアウトしていく兆候は見受けられません。
今後、 BA.1がBA.2に置き換わっていくにつれて、第6波がいったん収束しその後第7波が来るのか、第6波に重なるようにさらに大きな波が襲来するのか分かりません。
唯一明るい兆しは、一足早く感染の波が襲来した沖縄でピークアウトの兆候が見られることです。
沖縄での感染は、潜伏期間が従来株に比べ3分の一、2日と短く、従来株では症状の出る2日前からウイルスを排出し他人に感染させるリスクがありましたが、オミクロン株では発症前はウイルス量が少なく、この2日間は感染させるリスクが低く、濃厚接触者を追跡する必要がないのではないかと、琉球大学第一内科の藤田教授がテレビでお話しされていました。
急激に感染者数が増えましたが収束するのも速やかであり、今後沖縄以外の地域でも同様の傾向が見られていくのではないかと話されておりました。
重傷者数・死者数も従来株に比べ確かに少なく、まだ正体が完全に分かっていない相手ではありますが、今までのコロナよりは病原性は強くなくなっているのかもしれません。
現状の感染者数の拡大をみると、暗鬱な気持ちになってしまいますが、コロナ以前の日常が戻ってくる明るい未来が訪れる兆しも感じられます。