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発熱外来ブログ

選択を誤ると国が危うくなる!? 2024年上半期の菊地医院での新型コロナウイルス感染症の 検査数・陽性率

2024.07.04

新型コロナウイルス感染症の陽性者が増えてきています。
発熱外来への受診の依頼が増え、そして検査の結果陽性となる方が増えてきています。

厚生労働省によると、6月17日から23日までの1週間で、全国の1つの医療機関当たりのCOVID-19の平均の患者数は4.61人で、GW以降少しづつですが増加が続いています。

同じ週の沖縄県の1つの医療機関当たりの平均の患者数は25.68人で、急拡大した昨年のように増え始めています。
例年日本では、沖縄がピークを迎えたタイミングで他の地域の流行が始まり、その4週~10週後にかけて各地でピークを迎える傾向があります。

埼玉県の新型コロナウイルス感染症患者は1,478人(定点当たり5.68)でした。
全国と同様にGW以降緩やかな増加傾向にあります。

この2~3年の年間を通しての日本での新型コロナウイルス感染症の発生状況をみてみますと、毎年1月に感染の大きな波があり、春以降徐々に収まっていき、夏場にまた大きな波が再来する、そして秋口に再び収まり、また1月に波が襲来するといった傾向を繰り返しています。
例年の傾向を見ても夏場に波が襲来することは予測できます。

新型コロナウイルス感染症の動向を把握するには、ウイルスのゲノム情報を早期に把握することも重要となります。4月中旬以降の埼玉県は、JN.1.11.1KP.3(JN.1.11.1の子孫株の一つ)等、他の亜型に比べて免疫逃避性が有意に高い可能性があると指摘されているF456L変異を有するJN.1系統の子孫系統の検出数が増加しているため、5月以降は、全体として微増傾向になっています。
引き続き感染対策を徹底する必要があります。

BA.2.86系統及びJN.1系統の内訳(2024年6月20日現在)

2024年1月から6月までの菊地医院での新型コロナウイルス感染症の発生状況についてお知らせします。

菊地医院でも 全国と同様にGW以降 、コロナの陽性率が上昇してきています。


厚生労働省が実施した新型コロナウイルスの抗体保有率に関する調査の結果によると、抗体保有率60.7%という結果が示されました。
日本においては、感染によって得られる「抗N抗体」の保有率は高くなってきています。
しかし、年齢が上がるにつれて、抗体保有率が低くなる傾向がみられます。

海外のデータ(CDC)によると、新型コロナウイルス感染症の死亡リスクは、肥満・糖尿病・慢性腎臓病といった併存疾患をいくつ持っているかということよりも、年齢の増加に従って上昇し、39歳以下の成人に比べて、
65~74歳では6.7倍、
75~84歳では8.5倍、
85歳以上では10.6倍 以上の死亡リスクがあるということが示されました。
年齢が増加するほど重症化・死亡リスクは高くなります

高齢者ほど抗体保有率が低くなり、そして新型コロナウイルス感染症の死亡リスクも高くなるということです。
そのため、今後もワクチン接種が必要であり、特に65歳以上が対象の秋の定期接種は重要であると考えられます。
新型コロナウイルス感染症に感染しやすく、死亡リスクの高い高齢者を、この病気から守らなければなりません。

今年度から、コロナワクチンの公費負担による無料接種の制度は廃止され、自己負担が生じる定期接種と任意接種に切り替わります。
自己負担が生じる事で、ワクチン接種率が低下する事が懸念されます。


厚生労働省により発行されている新型コロナウイルス感染症の手引きでは、発症後の症状が軽症であり、入院治療が不要であると判断された場合は、COVID19-9に対する抗ウイルス薬は使用されず、解熱剤や鎮咳去痰剤などが処方されるのみの対症療法が行われるという指標が記載されています。

図

インフルエンザと診断された場合には一般的にほぼ全例でタミフルなどの抗ウイルス薬が処方されます。
新型コロナウイルス感染症に対する抗ウイルス薬は存在するのに、コロナであると診断されても軽症であればその薬は使うなということです。

2020年1月~2021年2月末日までに新型コロナウイルス感染症により入院した18歳以上の軽症・中等症・重症患者を対象にアンケートを行った結果(解析対象:1,066例)、診断12ヵ月後に何らかの症状が残っていた方の割合は33%であり、3.3人に一人が新型コロナウイルス感染症の後遺症が残っていたと答えています。

当院で検査の結果、新型コロナウイルス感染症が陽性であった方に、発症後何日経過すればPCR検査の結果が陰性になるのかを検討するべく、繰り返しPCR検査をさせていただきました。
当院のPCR検査器(スマートジーン)では、陽性か陰性ということだけではなく、検査時のウイルス量を判断することができます。
この検査器では検体を45サイクル繰り返しウイルスのDNAを増幅していきますが、何サイクル目で陽性になったかというCt値(Cycle Threshold)によりウイルス量を類推することができます。
Ct値 :標的遺伝子の陽性結果が得られるまでの遺伝子増幅の サイクル数
Ct値が34-37以上の場合、ウイルス量は少なくなってきており他者への感染リスクは低いと考えられると考えられます。
この方の経過は、
5/15:咳がひどくなる(発症日
5/18(3日目):38.4℃の発熱 自宅で自主抗原検査を行い陽性を確認
5/22(7日目):咳症状、味覚・嗅覚障害あり 1回目PCR検査 45サイクル中35サイクル目陽性
5/24(9日目): 咳症状、味覚・嗅覚障害あり 2回目PCR検査 45サイクル中35サイクル目陽性
5/31(16日目):軽度の 咳症状、味覚・嗅覚障害あり 3回目PCR検査 45サイクル中43サイクル目陽性
6/7(23日目):ほぼ症状は改善  4回目PCR検査 45サイクル中42サイクル目陽性
6/10(26日目):ごく軽度の嗅覚障害のみ残存  5回目PCR検査  陰性

繰り返し5回PCR検査を行った結果、この方は発症後26日目にしてやっと陰性になりました。

発症後7日目の Ct値が 35サイクルですので、この時点で他人に感染させるリスクはあまりないと考えられます。
ただ新型コロナウイルス感染症は免疫反応がゆっくりとしか起こらないため、ウイルスはダラダラ、ダラダラと体の中で増え続けていて、感染してから2週間、3週間経過してもまだウイルスを出している人がいます。
これがこのウイルスの怖いところです。

新型コロナウイルス感染症の罹患後症状 post COVID-19 condition(long COVID)に対して、抗ウイルス薬をできるだけ早期に使用することは予後の改善に役立つと考えられています。
long COVID の原因がコロナ発症から数ヶ月経過しても、体内にウイルスが残存していることであるとするならば、コロナに罹った人の3割以上が苦しんでいるこの病態に陥らないようにするために、インフルエンザのように陽性者全てに抗ウイルス薬を処方していくべきなのかもしれません。
それなのに軽症の患者には抗ウイルス薬を使用せずに対症療法を行えという、 厚生労働省発行の新型コロナウイルス感染症の手引き を見ると、昨年の5月8日以降 感染法上の分類を 「5類」に引き下げたコロナに対して、高額な抗ウイルス薬を頻繁に使うなという国の意向が 透けて見えます。
急性期のコロナの症状が強い人、基礎疾患が有り重症化リスクが高い人には抗ウイルス薬を使用しても良いと考えますが、手引きによると軽症~中等症で入院治療が不要の場合は使用せずとされ、その治療を希望される方には、以下のような自己負担金が発生します。

ラゲブリオ(モルヌピラビル)

薬価約87,000円 3割負担 約26,000円 2割負担 約17,300円 1割負担 約8,700円

パキロビッド(ニルマトレルビル)

薬価約99,000円 3割負担 約29,700円 2割負担 約19,800円 1割負担 約9,900円

ゾコーバ(エンシトレルビル)

薬価約52,000円 3割負担 約15,500円 2割負担 約10,300円 1割負担 約5,200円

以前は抗ウイルス薬を使用しても全額国の支援がありましたが、これでは富裕層でお金に余裕のある人しか抗ウイルス薬の効果を得ることができないということになります。

抗体保有率が低く、重症化・死亡リスクが高い高齢者のワクチンについても、 公費負担による無料接種の制度は廃止され、自己負担が生じる定期接種と任意接種に切り替わる。

急性期のコロナ感染者のウイルス量を減らし、症状を緩和させ重症化リスクを減らす、
3.3人に一人が後遺症で苦しんでいる 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状long COVID) に対して予後の改善に役立つとされる、
抗ウイルス薬。
それを使用する際に上記の様な自己負担を国民に強いる国の姿勢。

確かに今までに何十兆円にもおよぶ新型コロナウイルス感染症に対する予算を組んできたと思います。
それに対しても利権を貪ってきた政治家が存在するのではないかと想像します。
自民党・安倍派「清和政策研究会」のパーティー券をめぐり、所属議員側にノルマを超えた分の売り上げを収支報告書に記載せずキックバックされていたとみられる裏金問題、この政治資金問題に対して、国民の目は今も厳しく光っています。
その安倍派5人衆と言われた政治家の一人が、経済産業大臣としてコロナ対策を担当してきた時期もありました。

新型コロナウイルス感染症という疫病に、国難として国中が苦しめられた数年間、
政治家たる者、その国難に対して国民を救うべく懸命に仕事をするものだと思いますが、その間に裏金を作り私腹を肥やしてきた政治家がたくさんいます。
税金が原資である裏金分に相当する金額がもしも予算としてあれば、今でも高齢者のワクチンや、コロナ感染者に処方する抗ウイルス薬に対して、国からの助成が組めたはずなのではないかと考えます。

権力は腐敗する。絶対的な権力は絶対的に腐敗する。」 ジョン・エドワード・アクトン

無関心は権力者、統治者への静かな支持である。」 ウラジミール・レーニン


今週末、日曜日に東京都知事選挙がありますが、
ここまで長々と書いてきた私の考えから、
誤った選択をすると国が危うくなる・・・ という危惧から、
東京都の無党派層の方々に、訴えたくて。。。。

長文で失礼いたしました。

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