蕨市の菊地医院 内科、小児科、外科、皮膚科の診療

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発熱外来ブログ

新聞記事について

2022.11.02

10月中に新聞社2社の取材を受けました。
菊地医院のことが新聞記事になり掲載されました。
一つ目は2022年10月14日(金)、毎日新聞の朝刊に取材記事が掲載されました。
以下からご覧にいただけます。
URL:https://mainichi.jp/articles/20221013/k00/00m/040/398000c

そして二つ目は本日 11月2日の読売新聞の朝刊の医療ルネサンスに、シリーズ「インフルエンザ」全5回の2回目に当院のことが掲載されました。
URL:インフルエンザ<2>同時検査キット 市販要望も : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

いずれも10月13日に日本政府から発表された、この冬に見込まれる新型コロナウイルスの「第8波」と季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応策について、発熱外来を行っている開業医、実地臨床医としてどのように感じているかと、意見を求められました。

政府は今冬の新型コロナ患者は1日45万人を、インフルは直近5年で最多の1日30万人の患者が出ることを想定し、社会経済活動との両立を目指し、ウイルスに大きな変異がない限り、緊急事態宣言などの行動制限は見送る構えで、
同時流行時には受診の流れについて、以下のようなイメージを示して呼びかけています。

同時流行で政府が呼び掛ける受診の流れ
同時流行で政府が呼び掛ける受診の流れ

 対策は、重症化リスクの高い人については受診を促しています。対象者は、65歳以上の高齢者▽64歳以下で基礎疾患のある人▽妊婦▽インフルに感染した場合、急性脳症などの懸念がある小学生以下の子ども、などとしています。

 一方で、リスクの低い患者には、症状が重い場合を除き、「すぐ受診」は避けてもらい、新型コロナのキットを使った自宅での抗原検査を促しています。インフル用のキットは市販されていませんが、新型コロナ用キットは薬局やインターネットで買えます。

 コロナ陰性で受診を希望する場合は、オンライン・電話診療、かかりつけ医の受診のいずれも可能としていて、オンライン診療などでは検査なしでもインフルだとの診断ができるとし、タミフルなどの治療薬を届ける体制を整えるとのことです。

毎日新聞の記事から抜粋し、政府の対応策についてご説明させていただきましたが、この対応策について、
コロナが陰性だからインフルエンザだというのは乱暴だ」と、強く意見を述べさせていただきました。
以前より発熱外来ブログで自分の考えをお伝えさせていただいておりますが、なぜ「乱暴」と思ったのか改めて書いてみたいと思います。
また、両紙とも対面であったり、オンラインであったりしましたが、長い時間かけて考え方や意見を伝えたのですが、短い新聞の紙面には切り取られ一部しか掲載されませんでした。誤解を招く部分もあるかと思われ、補足して説明させたいただきたいと思います。

毎日新聞の記事の中に、私の意見として、『森田氏は「発熱患者にはRSウイルスなど、他の感染症も考えられる。似た症状もあり、オンラインだけで診断はできない」と指摘する。』と掲載されました。
私は、韓国でもインフルエンザが疑われる患者が過去5年間で最多になっており、インフルとコロナの同時流行:ツインデミックの恐れもありますが、アデノウイルスライノウイルスRSウイルスなどの複数のウイルス感染も増加しており、マルチデミックという状況に対しても恐れられていると説明させていただいたのですが、紙面の掲載スペース(文字数)の関係で、なぜかRSウイルスのみが書かれておりました。
コロナウイルス・インフルエンザウイルス以外にも、かぜ症候群の原因ウイルスはたくさんあるのに、コロナじゃなければインフルだという考え方が乱暴であると申し上げたかったのです。
RSウイルスに初めて感染する乳幼児の約7割は、数日のうちに軽快しますが、約3割は咳が悪化し、喘鳴、呼吸困難症状などが出現し、 細気管支炎、肺炎へと進展することがあり 入院加療が必要になる場合はあります。
ただ大人がかかってもそれほど問題になることはありません。
それなので一般成人のコロナ・インフルに次ぐ取り立てて注意しなければならないウイルスというわけではなく、当院の小児科専門医の川島先生は、「森田先生がとくにRSウイルスを強調するとは思えないので、おかしいですね。」と話されておりました。
私もおかしいと思いましたが、私の伝えたい内容がおおむね記載されておりましたのでとくに異議を伝えませんでした。10月12日の取材で2日後にはもう掲載されるタイトなスケジュールであり、記事を確認し修正する時間はありませんでした。
この記事の内容にもありますが、オンライン診療などでは検査なしでもインフルだと診断ができ、タミフルなどの治療薬を届ける体制を整えるとのことですが、検査をせずにインフルの診断をしてタミフルを服用させることも乱暴だと思います。
タミフルは、異常行動により服用した中学生が転落死するなどの事故が相次いだため、2007年以降10代への使用が原則禁止されていた薬剤です。
2018年に10代への使用制限が解除されましたが、発熱あり内服したあと2日間は小児・未成年については、親の目の届くところにいさせるなどの配慮が必要な薬剤です。
オンライン診療だけでインフルの確定診断ができるわけもなく、インフルエンザでない人がタミフルを内服してしまうことも考えられます。
新型コロナウイルス感染症は2類、インフルエンザは5類として分類されておりますが、5類のインフルだって肺炎になり重症化して亡くなったり、インフルエンザ脳症で重篤な後遺障害が残ったりする怖い疾患です。
コロナじゃなければインフルだからタミフル飲んで家にいろというのは、とても乱暴であると思います。
菅谷憲夫教授が話されたように『症状が重いと感じたら、全員がすぐに発熱外来に行っていい』と強調しなければ、現場は混乱すると私も思います。

本日掲載された読売新聞の記事では、発熱・咽頭痛のみられる患者さまに、当院で新型コロナとインフルエンザを同時に調べられる抗原検査キットを用いて、検査を行った記事が紹介されました。
結果は新型コロナのみ陽性でインフルは陰性でしたが、実はこの方はご自身で自宅でコロナの抗原検査キットを用いて事前に検査しており、その時は陰性でした。
オミクロン株の新型コロナウイルス感染症でも、発症初期のウイルス量が少ない時期にPCRで検査を行っても、偽陰性としてすり抜けてしまい、時間が経って症状がよりはっきりした時期に再検すると陽性になっていることをたびたび経験しました。
PCRよりも検出感度が低い抗原検査では、よりそういったことが起こり得ると考えます。
自宅でご自身で行った検査では、十分量のウイルスが採取されていない検体であった可能性も考えられます。
嫌がるお子様をお母様が押さえつけて、鼻腔に綿棒を少しだけ挿入してチョコチョコっと取っただけの検体では陰性になってしまうリスクがあります。
そのような検査で陰性だから、その人はインフルであるというのも無理な話で、その方は実はコロナなのかもしれません。

コロナでもインフルでも発症初期のウイルス量が少ない時期に、きちんと確定診断することは容易ではないと思います。
より感度の良い検査方法を選んだ方が、正確な診断にたどり着けると思います。
当院で可能なコロナ・インフルの検査器の感度は、PCR検査ドライケム抗原検査抗原検査ということになります。
外来でインフルエンザを疑った患者さまに、通常のイムノクロマト法による抗原検査を用いて検査した際に、発熱などの症状がみられて間もない時期はウイルス量が少なく、陰性になってしまい、翌日再検査して初めて陽性を確認したといったことがよくありました。インフルエンザの検査を続けて2回行うことは保険が通らないし、患者さまにとっても痛い鼻グリグリ検査を2回することになります。
インフルエンザウィルスの増殖速度は非常に速く、1個のウィルスが24時間後には100万個になるといわれています。そのため、ノイラミニダーゼ阻害薬などの抗インフルエンザウィルス薬はできるだけ早期(発症後48時間以内)に服用を開始することが重要です。
インフルエンザの検査と治療において、問題となる点は、
発熱してから時間が経過しないと検査で陽性にならない!
発症後2日以内に治療を開始しないといけない!
ということになります。
※つまり発熱後、数時間から48時間の間に診断し、治療を開始しないといけない!!
ということで、症状がみられてから数時間経過しある程度ウイルス量が増えていて、抗原検査キットで陽性と診断できるタイミングできちんと検査する、
診断し得たらただちに ノイラミニダーゼ阻害薬 を処方するということが大切になります。
できるだけ早期に診断するために、より感度の良い抗原検査であるドライケム抗原検査を積極的に用いる様にしています。

前置きが長くなってしまって恐縮に思いますが、申し上げたいことは、
症状がみられて自宅・自分でコロナ抗原検査キットで検査する
  ⇒ウイルス量が少なくて偽陰性になってしまう。(じつはコロナの可能性あり!!
  ⇒陰性を確認して、その後オンライン診療を受けるインフルだろうと診断されて自宅にタミフルが送られる
   (発症後48時間以内の治療開始に間に合わない!!
ということが言いたかった訳です。

今冬に新型コロナ患者1日45万人、インフル1日30万人の患者が出て、日本全国の救急医療、発熱外来が逼迫する。
PCR検査や抗原検査キットの数が絶対的に不足する。
政府の対応策が乱暴であると言って批判しましたが、そのような状況下、私の方になにか画期的なアイデアがある訳ではありません。
ただ日本政府の感染対策はオミクロン株の流行であることを前提にしており、前回のブログでご説明したように、オミクロン株ウイルスの新たな派生型が流行したり、オミクロンの次の変異株の出現したりすれば、その対策は根底から崩れてしまうことになります。
私たちにできる対策として、ワクチン接種による免疫効果が減衰している状況が、コロナ再燃・インフル流行といった事態に重ならないように、 2022-23秋冬シーズンの前にオミクロン株ワクチンとインフルエンザワクチンの接種を行って、準備・対策をしておくことが大切であると思います。

コロナを疑う症状の患者さまを検査する際に、発熱などの症状が明らかにあってウイルス量も増えていると思えば、通常のイムノクロマト法による抗原検査で検査を行い、顕著な症状のない人、症状のみられない濃厚接触者に対してはPCR検査を行うなど、選択しています。
コロナとインフルが同時に検出できる 抗原検査キットでは、一回の鼻ぬぐい検査で両方の検査が同時に行えること、コロナのみならずインフルについても公費になり患者負担がないことや、コロナとインフルに同時に感染すると肺炎が重症化・長期化する可能性があり、コロナ陽性の患者さまのインフルエンザ感染の有無について調べておくことは重要だと思っていることなどから、積極的に両方の検査を行ってまいりました。
外来でそれぞれを検査する際には、ウイルス量が少なくても感度が良く、そして同時に迅速に検査できる機器で対応できれば万全であると思います。
当院に3台あるPCR検査機器スマートジーンに使用できるテストカートリッジとして、A型およびB型のインフルエンザウイルスRNAを検出できる新しいキット:スマートジーン Flu A、Bが新しく開発されております。
このカートリッジを使用すれば一回の 鼻グリグリ検査 で得られた検体を用いて、インフルエンザとコロナの両方を同時にPCRで検査することができます。
1時間以内にそれぞれの結果を確認できます。
しかし、現在このスマートジーンによるインフルエンザのPCR検査は保険適用はあるのですが、病院で重症の入院患者に対してのみ使用でき、クリニックでは保険が適用されにくい状況なのであります。
インフル・コロナの同時抗原検査キットが市販されることも要望しますが、このPCR用のインフルテストカートリッジがクリニックで使用できるようになることを切に望みます。

この夏にインフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行:ツインデミックが起こったオーストラリアでは、一つの検体で同時に8種類の感染症のPCR検査を行える機器があるとのことであり、日本でもそのような検査が保険適用になればよいと思っております。
コロナでもインフルでもないときちんと診断する、それではこの発熱の原因は何なのか?
症状の強い人についてはオンライン診療ではなく、コロナでなければ院内に入っていただき、胸部レントゲン検査や血液検査を行って、熱の原因や炎症のフォーカスをていねいに診断する診療が必要なのだと思います。

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