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発熱外来ブログ

新年あけましておめでとうございます。

2022.01.03

新型コロナウイルスの変異ウイルス「オミクロン株」の感染が世界に拡がり、日本でも最初の感染者が確認されてから1ヶ月経過しましたが、経路不明の市中感染が拡大しつつあります。

コロナウイルスが変異したことにより、人から人へのうつりやすさ:伝播(でんぱ)も変化し、感染しやすくなった可能性も考えられます。
ウイルスは自身の遺伝情報をDNAデオキシリボ核酸)やRNAリボ核酸)に記録・保持しますが、変異はこの一部が書き換わることを指します。新型コロナウイルスのようなRNAウイルスの場合は、RNAの一部が書き換わり、それによりタンパク質の性質が変わってきます。
新型コロナウイルスはヒトの細胞に侵入し、RNAを複製し、自己増殖します。その中で変異が起こり、ヒトの細胞によりくっつきやすい性質を獲得したものが生き残るという「選択」が起こります。
生物(ウイルス)の進化において、ある形質をもつ生物個体にはたらく自然選択の作用のことを「選択圧」といいます。

変異という現象はランダムに起こると考えられています。ただし、どう選択圧がかかるかによって、伝播性などの傾向が変わる場合はあります。
例えば病毒性がものすごく高くなり、感染したらその人は1秒で死ぬウイルスが出てきたとします。するとウイルスが排出されて他の人にうつることはできなくなりますから、そのウイルスは拡がりません。
実際に、2013年に流行が始まった中東呼吸器症候群MERSマーズ)を引き起こした別のコロナウイルスは、致死率が40%と高く、かかると重症になります。人にうつす間もなく患者さんは亡くなったり入院したりすることもあり、拡がりにくかった。だから、そうした変異が選択されず、より毒性が下がって人にうつして回るウイルスの方が選択されることはあり得ます。
ウイルスも自身が生き残るために、感染した宿主が死なないように弱毒化していくのかもしれません。
しかしウイルスに意思があるわけではなく変異はランダムに起こるのですから、必ず弱毒化の方向へ向かうのでもなく、日本に入ってきたばかりのオミクロン株が弱毒であるとするのも、時期尚早なのかもしれません

古くはペスト、天然痘、コレラなどさまざまな感染症が、各時代に世界中に蔓延しました。
20世紀以降も、第一次世界大戦のさなかにアメリカ軍の兵士たちの間で流行したインフルエンザが世界中に拡がりました。いわゆる「スペイン風邪」です。
第二次世界大戦中や戦後も日本では結核が流行していました。
1980年以降、エイズが世界中に拡がりました。
21世紀に入り、コロナウイルス科の複数のウイルスにより、SARS重症急性呼吸器症候群)、MERS中東呼吸器症候群 )、新型コロナウイルス感染症があいついで流行しています。
コロナウイルスはもともとは、鼻かぜの15%を占める普通感冒の原因ウイルスです。

人間の細胞の中で増殖を繰り返し、なんとか生き残ろうとして変異をしていくウイルス・・・・

多くの感染による犠牲者を出しながら、ワクチンや治療薬を開発し、またそのウイルスに対する免疫力・抵抗力を身につけ、進化していく人間・・・・

ウイルスの変異の速度と比べると、人間がそのウイルスに対する耐性免疫を獲得するのにどれだけ膨大な時間をかけなければならないか ・・・・

しかし、過去の歴史を見ても、人類は何億もの命を犠牲にしても免疫力を身につけ、ひとつひとつの感染症を乗り越え、克服してきております。
新型コロナウイルスもいつかは、かぜ症候群の病原体のひとつになり、地球上の生物として人間とともに共生していく時が来ると思います。
第5波は急速に感染者数が激減しましたが、年内に新型コロナウイルス感染症が確実に、収束の報告に向かう傾向がみれることを、年の初めに祈っております。

大晦日の天気は曇っていて、富士山の山頂を見ることができませんでした。

しかし、年が明けると空は晴れ渡り、はっきりと山頂を見ることができました。

雲ひとつなくなりました。

富士山にお願いしました。

今年はきっと良い年になるぞ🙏

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