コロナ関連ニュース―抗体検査④

6月3日より当院が契約している検査会社で、新型コロナウイルスの抗体検査を行えるようになりました。

以下にその検査についてまとめます。

検体：血清0.5ml
結果：2～4日でお知らせすることが可能です。
費用：6,000円（税込み）
特徴：ロシュ・ダイアグノスティックス社の研究用試薬『Elecsys Anti-SARS-CoV-2』を用い、検体中のSARS-CoV-2のヌクレオカプシド蛋白質に対する抗体(IgGを含む)を検出する定性検査です。研究用試薬を用いた研究検査項目であり、保険適用の対象外となるため自費診療になります。
ウイルスが体内に入り免疫細胞が産生した抗体の有無を測定します。
IgM抗体、IgG抗体それぞれの結果を示すことはできません。
現在症状が見られない方の過去の感染の有無を判定することを目的とし、スクリーニング、コロナ検診としておすすめします。
承認：CEマーク（EU加盟国基準適合）取得済み、米食品医薬品局（FDA）の緊急使用許可（EUA）取得。

菊地医院の院内で行える2種類の迅速キットと比べて見たいと思います。

迅速抗体検査の方が有利であると思えること。

・迅速抗体検査はIgM抗体、IgG抗体それぞれの結果を判定でき、未感染・感染初期・感染中期・感染後のどの時期かを診断することが可能です。
それに対して血液検査会社に依頼する抗体検査は、IgM抗体、IgG抗体それぞれの結果を示すことはできません。抗体の有無のみを測定する定性検査であり、抗体陽性の場合は最近あるいは過去にこのウイルスに感染したことを示すことになります。　

・迅速検査であるので10～15分後に判定が可能です。血液会社での検査は結果が出るまでに2～4日かかってしまいます。

・迅速抗体検査は静脈血を遠心分離した血漿検体ではなく、指先からの穿刺採血による全血検体でも可能な様です。
しかし血漿検体の方が精度が優れるとのことですので、当院では全例遠心分離した血漿検体で検査を行います。

血液検査会社に検体を提出して行う抗体検査の方が有利であると思えること。

・費用が安く検査を行えます。
迅速抗体検査は保険適用されておらず、迅速キットの納入価が高価なため検査にお金がかかってしまいますが（9800円税込み）、血液検査会社で行う場合はそれよりも安くできます（6000円税込み）。

どちらの抗体検査も研究検査項目であるので保険が適用されず、自費になってしまうのは仕方がないと思います。

秋冬シーズンに新型コロナウイルス感染症の第2波が襲来することが危惧され、日本においてしっかりと国民的議論を尽くして十分な感染予防の対策、医療崩壊を起こさない対応を取っていくべきであると考えます。
この感染症の診断に対しては、PCR検査（より安全で簡単な唾液を検体にした検査が本日から保険適用）、抗原・抗体検査といくつかの手段を私たちはカードとして持つことができるようになりました。

抗体検査については6月になり東京・大阪・宮城県の3都府県で約1万人の対象者を選定し調べる予定であるとのことです。
東京都内では板橋・豊島・練馬の3区に住む各1000人程度の対象者を選定するとのこと。
新型ウイルスの患者が多い東京、大阪と患者が少ない宮城を対象に検査し、全国の感染状況の推計や感染拡大防止策の検討に生かす考えであるとのことです。
抗体検査は多数の対象を検査することで、感染の蔓延状況や集団免疫の進行状況を把握するなど疫学的調査・研究に確かに貢献できるものです。
今後のワクチン開発にも貢献でき必要なことであると思いますが、対象者を選定して、感染者が多い地域と少ないところを比較して調査・研究などと言うとずいぶんのんびりとした話だなと感じてしまいます。
北九州市はコロナの第2波を受け感染者が急増しておりますが、PCR検査陽性者の過半数は無症状であったとのことで、症状がない濃厚接触者まで対象を拡げて陽性患者の掘り起こしができたとのことです。
PCR検査でも、抗原・抗体検査でも選定するのではなく、もっと対象者を拡げて検査できたら良いと思います。
日本で薬事承認を受けていない抗体検査ですが、自費ではなく保険適用されればもっと多くの人たちが検査を受けれて、結果を検査会社に報告させれば感染の全国的な蔓延状況や集団免疫の進行状況をもっと大規模に把握することができるのではないかと思います。
自分がいつの間にか感染しているのではないか？
他人にすでにうつしてしまっているのではないか？
赤ちゃんや老人といっしょに生活しているから、自分が過去にかかっていないかを知っておきたい。
それらはとても大切なことです。
自費検査も5000円を超えてしまうと、抵抗のある人が多いと思います。保険適用されて1000円～2000円くらいで受けれたら良いと思います。