コロナ関連ニュース―中和抗体検査④
厚生労働省は新型コロナウイルス感染症のワクチン接種2回目終了後から8ヶ月以降に、3回目の追加接種(ブースター接種)を行いたい考えで、早ければ12月より始めたいとしている様です。
2回目接種を完了した後に、日数の経過とともに中和抗体の値が徐々に減少していくことは明らかにされています。
当院でも検体数は少ないのですが、検査をした中和抗体の値を縦軸に、そして2回目接種を完了してからの日数を横軸にして、グラフ化してみました。
青い折れ線が男性、オレンジの線が女性ですが、男女ともに2回目接種からの日数が経過するにつれ、抗体価が低下しているのが分かります。
男性の方が40日を経過したくらいから抗体価が一気に低下しており、女性の方がなだらかに低下していく傾向があります。
グラフでは4ヶ月目には男女ともに抗体価はかなり低下しております。
厚生労働省が考えている8ヶ月後開始では時期が遅いとして、年明けに再び感染拡大の波が来る恐れがありますが、2ヶ月から4ヶ月目にブースター接種を行えば、その感染の波をゆるやかにすることができるのではないかとする研究者もおります。
将来的にかかりつけ医が患者ごとに中和抗体値の減少を診察し、接種時期をそれぞれ判断すれば、感染拡大を防ぐ効果が大きくなるのではないかと考えます。
早ければまず12月から3回目として医療従事者と高齢者が、接種開始になるかもしれません。
呼吸器感染症は長い期間免疫を維持することが難しく、すべての世代に3回目の接種が必用になる可能性があります。
メッセンジャーRNAワクチンは、接種後に心筋炎・心膜炎という副反応を起こす可能性があることは、以前から指摘されています。
10代・20代の男性については、ファイザーに比べてモデルナのワクチンの方が、心筋炎を発症する率が明らかに多くなっています。1回目にモデルナを接種された方は、2回目の接種にモデルナだけではなくファイザーを接種する選択もあり得ると思われます。
心膜炎・心筋炎の代表的な症状は、胸が痛い・胸がドキドキする・息切れがするの3つです。
2回目の接種を終えてから4日から1週間程度まで注意することが必要であるとのことです。
2回目の接種を完了してから時間が経過すると、ウイルスの働きを抑える中和抗体の値が下がり、感染を防ぐ効果が低下するという報告は、多く出されております。
ファイザーのワクチンでは2回目接種後1ヶ月目と3回目の追加接種後1ヶ月目を比較すると、55歳以下で5倍以上、65~85歳で11倍以上中和抗体値が上昇したという報告があります。
モデルナのワクチンにおいても、追加接種後から2週間後の中和抗体値が約42倍に増加したとする報告があります。
一方で、抗体値が減っても入院や重症化を予防する効果は、十分に高いとする研究もあります。
日本国内でも2回のワクチン接種のあと、2週間以上してから感染が確認されるブレイクスルー感染が報告されていますが、重症化リスクは低いとされています。
お示ししたグラフの結果から分かるように、2回接種が完了しても時間の経過とともに中和抗体値は低下していくものなので、早い時期のブースター接種が必用であり、それは前に打ったワクチンと異なるどのワクチンを接種しても、免疫の反応が強化されることが示唆されます。
前述したように将来的には、かかりつけ医が中和抗体値を測定しながら、年に何回かの接種が必要になってくるのかもしれません。