新型コロナウイルス感染症の抗体検査を導入
新型コロナウイルス抗体検査(SARS-CoV-2抗体検査)
抗体検査の方法として、
「1.血液検査会社で検査」と「2.菊地医院で検査(迅速検査)」の方法があります。
検査方法1.血液検査会社で検査
当院が契約している血液検査会社にて新型コロナウイルス抗体検査を行うことができます。
PCR検査が検体中の新型コロナウイルス遺伝子を測定することで現時点での感染状態を示すのに対し、検体中の新型コロナウイルスの抗体の有無を測定することにより、最近あるいは過去にこのウイルスに感染したことを示す検査です。
検体 |
血清0.5ml |
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結果 |
2~4日でお知らせすることが可能です。 |
費用 |
6,000円(税込み) |
特徴 |
ロシュ・ダイアグノスティックス社の研究用試薬『Elecsys Anti-SARS-CoV-2』を用い、検体中のSARS-CoV-2のヌクレオカプシド蛋白質に対する抗体(IgGを含む)を検出する定性検査です。研究用試薬を用いた研究検査項目であり、保険適用の対象外となるため自費診療になります。 |
承認 |
CEマーク(EU加盟国基準適合)取得済み、米食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可(EUA)取得。 |
検査方法2.菊地医院で検査(迅速検査)
精度に優れ、供給可能な迅速検査キットを2種類準備し検査を行える態勢を整えました。
現状でいずれのキットも日本で薬事承認を受けたものではなく、試験研究用・精度調査用に導入されたものであり医療保険の適用を受けておらず、このため自費診療になります。
検体 |
静脈血あるいは指先からの穿刺採血による全血検体、血清・血漿 |
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結果 |
迅速検査であり当日にお知らせすることが可能です。 |
費用 |
9,800円(税込み) |
迅速抗体検査キットの種類 |
新型コロナウイルス感染症=COVID-19 に対する抗体検査として以下の2種類のものを準備しました。 |
①コロナキット イノビータ
ニューヨークの抗体検査で使用されたものであり、また先日、ソフトバンクの孫正義さんが購入して社員の検査を行おうとされたものと同じ製品になります。
特徴 |
新型コロナウイルス抗体2種を15分で判定(イムノクロマト) |
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原産 |
中国 |
承認 |
CEマーク(U加盟国基準適合)取得済み、NMPA(中国FDA)承認済み |
感度 |
COVID-19陽性患者126検体中110検体で陽性(感度87.3%) |
特異度 |
陰性患者62検体中62検体で陰性(特異度100%) |
※感度とは: 感染している人を正しく感染していると判定する確率
※特異度とは:感染していない人を正しく感染していないと判定する確率
②COVID-19 IgM/IgG Duo
藤田医科大学病院では、院内感染防止を目的にこの抗体検査キットを用いて、全身麻酔による手術を控えた患者さまを対象に新型コロナウイルス感染の迅速診断を行っています。
特徴 |
新型コロナウイルス抗体2種を10分で判定(イムノクロマト) |
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原産 |
韓国 |
承認 |
CEマーク(EU加盟国基準適合)取得済み |
感度 |
発症から10日後、感度95.7% |
特異度 |
発症から10日後、特異度96.7% |
※13日以降の検査ではほぼ100%抗体を検出することができるとのことです。
①、②ともに基本的に事前予約にて受付させていただきます。
受付時間:平日 午後12:30~15:00まで
(15分単位で予約させていただき最終受付は14:45になります。)
検査場所:医院駐車場のアコーディングガレージ(テント)内
迅速抗体検査は、現在・過去に新型コロナウイルスに罹患したかを調べる検査でありますが、予約で行う場合には現在症状がある方の診断を目的とせず、過去に感染があったかどうか不安な方に対する検査とさせていただきます。
未感染・感染初期・感染中期・感染後のどの時期かを診断することが可能です。
発熱、咳などの呼吸器症状、急性期の感染症が疑われる患者様に対しては、現在も診療時間内に発熱外来として医院外の駐車場のテント内で診察させていただいております。
この際に医師は防護服・フェイスシールドを着用し診察を行っております。
発熱外来で診察させていただいたときにも希望される方には抗体検査を行います。
平日午後の予約検査においても、万が一抗体が陽性になる可能性も考えて、同じ場所、同じような体制で検査を行わせていただきます。
費用:9,800円(税込み)
抗体検査とPCR検査
PCR(polymerase chain reaction)検査は医学の広い分野で応用されている遺伝子増幅法であり、ごく微量の遺伝子の検出にその威力を発揮します。PCR検査は感度、特異性に優れコロナウイルス感染症の診断についても、鼻腔・咽頭ぬぐい液などの新鮮検体中のコロナウイルスだけがもつ遺伝子を増幅し、検出することが可能です。しかし問題点としては検査に時間や手間がかかること、検査の各操作過程においてDNA混入(contamination)により偽陽性反応が起こりうることなどがあげられます。現在諸外国に比べて日本における検査数の少なさが問題になっておりますが、コロナウイルス感染症の確定診断に繋がる検査ですので、もっと検査数を増やすべきであると考えます。
一方の抗体検査は、侵入したウイルスに対して体内の免疫システムが産生する物資(抗体)を検知する検査です。抗体は免疫グロブリンと言われ、ウイルスが体内に入ると免疫細胞が抗体を産生します。迅速キットでは採取された血液を検体としてわずか10~15分程度で判定することが可能です。
インフルエンザと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発症経過の違い
シェーマ 1(近畿大学医学部免疫学教室教授 宮沢正顯教授 新型コロナウイルス感染症対策講座より引用)
インフルエンザウイルスは非常に増えるのが速く、1個のウイルスが24時間後には100万個になると言われています。
あまりにも速くウイルスが増殖するので、それに対抗しようとして体が反応して、発熱・頭痛などの強い症状が早期に出現します。感染から2~3日経つともう免疫反応が起こり抗体が産生され、比較的早くウイルスが体内から排除されます。
それに対して新型コロナウイルスはジワジワ、ゆっくりと増えるのが特徴です。感染してから数日してからやっとウイルスが増え始め、それに対して体が反応してゆっくりと免疫反応が起こってきます。
多くの人では感染しても全く症状がないのですが、恐ろしいことに症状がなくてもウイルスは肺の中で増えている場合があるということが分かっています。
免疫反応がゆっくりとしか起こらないため、ウイルスはダラダラ、ダラダラと体の中で増え続けていて、感染してから2週間、3週間経過してもまだウイルスを出している人がいます。
これがこのウイルスの怖いところです。またインフルエンザに対してはワクチンがあり、また毎年流行するインフルエンザに対して私たちはすでに集団免疫を持っています。新型コロナウイルスに対しては日本人の多くはまだ免疫を持っていないし、またワクチンもありません。
どのような方が抗体検査を受けられると良いでしょうか?
新型コロナウイルスのIgM抗体は発症から数日、IgG抗体はIgM抗体と同時か数日遅れて出現します。
IgM抗体はその後消失し、IgG抗体は長く体に残ります。
こうした検出時期の違いにより、発症早期のウイルスが残存している時期にはPCR検査、発症後4週間以上経過した時期には抗体検査がすすめられます。
また、発症後すぐにはウィンドウ期と呼ばれるIgM、IgGともに抗体が検出されない時期があります。
このため現在症状がある人の診断にはPCR検査が推奨され、抗体検査は積極的にはすすめられません。
シェーマ 2(近畿大学医学部免疫学教室教授 宮沢正顯教授 新型コロナウイルス感染症対策講座より引用)
未感染 | 感染初期 | 感染中期 | 感染後 |
---|---|---|---|
IgM 陰性 IgG 陰性 |
IgM 陽性 IgG 陰性 |
IgM 陽性 IgG 陽性 |
IgM 陰性 IgG 陽性 |
PCR検査 | IgM | IgG | 結果の判定 |
---|---|---|---|
陽性 | - | - | 感染初期のウィンドウ期と呼ばれる状態 |
+ | - | 感染のごく初期、まだIgG抗体が形成されていない状態 | |
- | + | 感染中期~終末期、または何らかの理由で再感染した可能性 | |
+ | + | 感染の中で最もアクティブな時期 | |
陰性 | + | - | 感染の急性期の可能性、またはリウマチ因子による偽陽性の可能性 |
- | + | 過去に感染し、すでに回復した状態 | |
± | - | 初期段階でウイルス量が少なくPCR検査で検出されなかった可能性、またはリウマチ因子による偽陽性の可能性 | |
+ | + | 回復期にすでにあり、PCR検査では検出されないが抗体は残っている状態、またはPCR検査の結果が偽陰性の可能性 |
- ・一か月以上前に体調不良があり、新型コロナウイルス感染症に罹っていないか確かめたいという方
- ・不特定多数の方と日常的に接する機会が多く、ご自身が感染していないか不安な方
- ・自分が他の人にうつしてしまう可能性はないか、うつしてしまっていないか不安な方
- ・同じ場所で働いている仲間同士で、新型コロナウイルスに感染している人がいないことを確かめたいという方たち
など、とくに特徴的な症状がなくてもご不安な方は検査してみるのも良いと思われます。
人類が今までに出会ったことのない新しいウイルスで、集団免疫も獲得されておらずワクチンもない。
戦っている相手のウイルスのことがよく分かっていないので、得体のしれない相手に対して言いようのない恐怖を感じてパニックになってしまいます。
自分自身の感染リスクに恐怖を感じたり、また自身が感染することにより職場の人や家族にうつしてしまうことに強い不安を覚えている人は、
まず検査をしてみて、今の時点で感染していないという事実が分かることでずいぶん安心できるのではないかと思います。
検査の流れ
① まず事前に電話で予約をさせていただきます。
② 徒歩・自転車・自動車 医院に来られる交通手段を教えてください。
③ 医院に着きましたら電話で教えてください。
④ 医院駐車場のアコーディングガレージ(テント)内で受付をさせていただきます。
保険証・免許証など身分を証明できるものをご提示してください。
⑤ 2種類のいずれのキットも日本で薬事承認を受けたものではなく、試験研究用・精度調査用に導入されたものであり医療保険の適用を受けておらず、このため自費診療になります。
検査の精度は100%でなく、また検査の時点で結果が陰性であっても、感染していないことを100%確定することは検査の特性上できません。検査が陰性であるという証明書を発行することはできません。これらのことをご説明させていただき理解していただいたうえで、その内容を記載した同意書に署名していただきます。
⑥ 当日中に検査を終了させ、診療終了時間(午後8時)までにご連絡させていただきます。
医師が電話で結果をお伝えする連絡が良いか、メールにてご連絡する方法が良いか、ご希望を教えてください。
メールで連絡する場合はメールアドレスを教えていただき、医院のアドレスよりご連絡させていただきます。
その際は結果が出ている検査キットの写真を添付させていただきます。
⑦ 自費での検査代金9800円(税込み)のお支払いをお願いいたします。明細書・領収書をお渡しします。
⑧ 検査
・静脈穿刺による静脈血を抗凝固剤入りスピッツに採取し、血液を遠心分離して血漿検体10ul~20をキャピラリーチューブあるいはマイクロピペットを用いて採取し、キットに滴下します。
(COVID-19 IgM/IgG Duoは静脈血を遠心分離した血漿検体ではなく、指先からの穿刺採血による全血検体でも可能です。)
- ・10分~15分後にキットにピンク色のラインが検出され、結果が判定できます。
- ・もしIgMあるいはIgG抗体が陽性と判定された場合は、現在あるいは過去において感染した可能性が考えられ、ウイルスを排出していることも考えられるため、PCR検査の施行およびその後の対応・治療を行える医療機関に紹介し引き継ぐようにいたします。